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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

内田裕也の功績とは 日本にロックの土壌を切り開いたこと

公開日: 更新日:

 プライベートの場所では原則、取材拒否だった内田さんだが、仕事先では、きちんと対応してくれる人でもあった。多少、乱暴な言葉もあったが、自分の言葉で説明してくれた。こうした姿勢も勝さんや松方さんと変わらなかった。言葉だけでなく、眼光鋭い顔が脳裏に焼き付いているが、思い返せば、笑う顔を見たことがない。せいぜい苦笑いを浮かべるだけだった。

 森進一の「おふくろさん」の作詞で知られ政界にも顔が利いた川内康範氏と内田さんの晩年は重なって見えた。川内氏も人前で笑うことはなかった。こわもてで威圧する迫力は川内氏と内田さんは双璧だったと思う。

 内田さんは不思議なロック歌手でもあった。希林さんも「ヒット曲のない人なのよね」と言っていたように、誰もが知るヒット曲はない。それでもこれほど存在感のある歌手はいなかった。内田さんは沢田研二を発掘した男としても知られている。京都のジャズ喫茶で歌っていた沢田を「この男はいける」と見抜き芸能界に引き入れた。見立て通り沢田はスーパースターになったが、内田さんは後輩の成長を見つめるだけで、自身はロック魂を貫き通した。音楽関係者は、「ロックがまだ日本に根付いていない時代に土壌を切り開き作り上げた。土壌があったから後輩の矢沢永吉らロック歌手が活躍できるようになった。日本のロック界の発展のきっかけをつくった恩人です」と内田さんを称える。

 日本が生んだ稀有なロック歌手・内田裕也さん。その名は時代を超えて語り継がれていく。

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