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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

テレ東「きのう何食べた?」こういう生き方もありと思える

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 昨年の4月クールで話題になった「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)。また春が巡ってきて、新たな“男同士”の物語が登場した。西島秀俊内野聖陽という刑事ドラマも出来ちゃう組み合わせによる「きのう何食べた?」(テレビ東京系)だ。

 しかし、このドラマは「おっさんずラブ」のようなコメディーではない。逆に重くて暗い話でもない。描かれるのは心優しき男たちの穏やかな日常。その象徴が食卓だ。

 弁護士の筧史朗(西島)と美容師の矢吹賢二(内野)はマンションの2LDKで同居生活を送っている。月の食費は2万5000円。料理はもっぱら史朗の担当だ。事務所を定時に出るとスーパーに立ち寄り、品質と値段を吟味して材料を購入する。しかもサケとごぼうの炊き込みご飯も、ツナとトマトのぶっかけそうめんも実においしそう。堂々の食ドラマでもあるのだ。

 食卓で向き合う2人だが、賢二はゲイであることをオープンにしたがるし、史朗は隠すつもりはないが積極的に公開したいとは思っていない。

 また恬淡とした史朗に対して、賢二は彼の元カノに嫉妬したり、時には尾行までやってしまう。当然2人は衝突するが、そこは大人。史朗の料理も大いに寄与しながら、うまく折り合いをつけていく。

 見ている側も微苦笑とともに、「こういう生き方もありだよね」と思えてくるところが、このドラマ最大の値打ちだ。

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