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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

令和の芸能界の行方は…芸人のタレント化か伝統芸の復活か

公開日: 更新日:

「芸能界を広い枠組みで見ている。芸人をきっかけにタレント活動に入る。次に新たな才能を見いだすか、役者や司会に進出する。昔ながらの演芸だけでは仕事場も限られてしまう」(お笑い関係者)

 今どき「芸を極める」という言葉は死語なのかもしれないが、流れに逆行するように芸を極めようと門を叩く人もいる。かつてピン芸人として人気のあった山崎邦正は月亭方正として、「3の倍数と3がつく数で叫ぶ」という変わった芸で一世風靡した“世界のナベアツ”は桂三度の名でおのおの弟子入り。落語家としての道へ進んだ。

 一方で東京では神田松之丞という35歳の講談師の人気が急上昇中。赤穂浪士など史実に基づいた話を張り扇で机を叩いて調子を取りながら読み上げる江戸時代から続く伝統芸能であるが、落語などと違いあまり馴染みがない。それが最近は若者にも徐々に浸透。100人ぐらいの会場ながら独演会ではチケットが取りにくいほどの人気という。そこにはたゆまぬ松之丞の努力がある。パーソナリティーを務めるラジオを中心に、テレビ・雑誌で自ら講談の魅力を伝えている。出し物も古典だけでなく新作も手掛け「連続物」という長い歴史物を何日もかけて読むことで、リピーターが続出しているそうだ。低迷していた講談界の救世主ともいわれている。来年2月には講談の大名跡である6代目・神田伯山を襲名。講談ブームは平成をまたぎ令和へと続く。芸能界は中島みゆきの名曲「時代」のように常に回っている。時代と共に変化を続ける芸人の世界。

 令和はさらに芸人のタレント化が進むのか、それとも回り回って本来の伝統芸が見直され、邦正や松之丞のような存在が現れるのか――。

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