著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

八千草薫さん「美しさと哀しみと」で見せた底知れない怖さ

公開日: 更新日:

 八千草薫さんが逝った。享年88。八千草さんほどの大女優になると、「昭和を代表する女優が亡くなった」と毎回のように報じられるが、彼女は平成の活躍も見事なものだったと思う。昭和に限定して語ってほしくない。

 八千草さんといえば、最近では倉本聰脚本のテレビドラマ「やすらぎの郷」(2017年)での清楚な姿が頭に浮かぶ。少しのんびりした感もある戦前からの大女優の役柄がとても似合っていた。

 なかでも瞠目(どうもく)したのが、時折見せる心根の芯の強さだ。彼女の魅力として可憐さや美しさがよくいわれる。確かにそうだが、そこに強さが重なるととんでもない凄みを帯びる。強さで思い出すのが、川端康成原作、篠田正浩監督の傑作「美しさと哀しみと」(1965年)だ。

 八千草さんは京都に住む画家の役で、弟子役の加賀まりこと愛し合うのだが、あることで加賀が挑発した後に見せた八千草さんの行動が凄まじい。加賀の両頬を交互に叩いたのち、さらに怒りが爆発して縁側にあった鳥籠を蹴飛ばすのだ。映画史上、鳥籠を蹴飛ばした女優は彼女だけではないか。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」