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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

TVが報道機関ではなくなる日 労使協調路線で抜かれる牙

公開日: 更新日:

「基本的に労使協調路線でいきたいと思います……無駄な闘争は避けたいと思っております」

 民放各局が加盟する民放労連の定期大会(7月25日)で、新たに委員長になったTBSの高木盛正氏はこう語った。

 この発言には説明が要る。テレビ朝日が民放労連を抜けて、それを踏まえての発言だったという。高木氏はその発言の中で、テレビ朝日が抜けた責任を上部団体に向けた。それは日本マスコミ文化情報労組会議のことで、略称でMICと呼ばれる。新聞、印刷、放送、出版、映画、広告などの労働組合の連合会、協議会等で構成される組織だ。現在の議長は新聞労連の南彰委員長が務めている。南氏は経緯を次のように語った。

「『報道ステーション』の中核を担っていた非正規のスタッフが契約を打ち切られることになり、その問題をMICで議論してきた。組合員か否かではなく、報道を支える人材の切り捨てという点でしっかりと取り組まなければいけない。そういう危機的な問題と捉え、それを皆で共有してきた」

 報道ステーションは日本のテレビ報道を代表する番組だ。MICは集会を開き、その深刻さを番組のスポンサーにも伝えることにした。その文書には、「経験豊かなスタッフの大量排除は、スポンサー企業の皆様に育てて頂いた日本有数の報道番組の事実上の『解体』にもつながるものと懸念しています」と書かれている。これがテレビ朝日の経営陣を怒らせ、それがテレビ朝日労組の民放連の脱退につながったという。しかし、スポンサーに理解を求める状況までに追い込んだのはほかならぬテレビ朝日だ。そこを間違えてはいけない。

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