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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

TVが報道機関ではなくなる日 労使協調路線で抜かれる牙

公開日: 更新日:

 南氏は総理の記者会見、記者と総理との会食という問題を自身が属している政治部の在り方として疑問を投げてきた。その我が身を捨てた行動は多くの人の共感を呼んでいる。MIC議長として、組合の枠を超えて「報道ステーション」を支えてきたスタッフの処遇で声を上げる判断は、マスメディアの現状への危機感からきている。私も全く同感だ。

 高木氏に発言について問うと、「(民放)キー局が崩れるとローカル局も崩れる。他のことをやる余裕はないという認識」と説明した。「他のこと」とはメディアの在り方や社会問題への取り組みだという。組合はまず組合員の生活を守ることに専念するということだ。

 高木氏の言葉で、NHKの労組である日放労を思い出した。労使協調の代表格だ。思い出すのは、私が執行委員の時。NHKと政治との癒着が問題になった。それを問うシンポジウムを企画した際に日放労に主催を頼んだが断られた。NHKの報道姿勢より、職員の待遇が大事だということなのだろう。それは15年前のことだが、それが今のNHKにつながっている。この間、NHKの職員の待遇は守られただろう。しかし内部に正論を吐く組織がなくなったことでNHKは牙を抜かれた報道機関となっていった。秘密保護法も、安保法制も、日放労は声を上げず、NHKは政府の発表を報じ続けた。これが報道機関の労使協調の姿だ。民放労連も日放労のようになる。そしてテレビはやがて報道機関でもなくなる。

※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
 tateiwa@seedsfornews.com

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