著者のコラム一覧
神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

怪談の基礎知識<下>客席を盛り上げる幽霊もいる!

公開日: 更新日:

 松鯉師匠は速記本から「番町皿屋敷」を起こした。江戸時代、旗本に仕えていた女中のお菊。主の家宝である10枚揃いの皿がいくら数えても9枚しかない。紛失の濡れ衣を着せられたお菊は斬殺され、古井戸に投げ込まれる。その後、「1枚……2枚……」と皿を数えるお菊の亡霊が出てくる定番の怪談だ。

 師匠が寄席で「いちま~い、にま~い」と低い声を響かせると、本当に背中がゾクゾクする。

 今回はたくさんある中から聞いてほしい怪談を紹介しよう。

「乳房榎」は三遊亭円朝師匠の傑作のひとつ。絵師の菱川重信は妻のおきせと生まれたばかりの真与太郎と3人で暮らしていたが、重信に浪人の磯貝浪江が弟子入り、おきせと密通するようになる。重信は寺の依頼で本堂の天井に雄竜、雌竜を描くことになり、下男の庄助を連れて寺に泊まり込む。重信が邪魔になった浪江は下男の庄助を脅かして重信を呼び出し、殺す。庄助が寺に帰ると殺したはずの重信が竜を描きあげこちらを見て「庄助、何をのぞく」と睨みつける。その瞬間、明かりが消えて庄助は倒れる。寺の者が明かりをつけると、落款の朱肉がべっとり……濡れ竜の絵は完成していた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃