著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

書きゃいいのだ。脚本家や作家になりたけりゃ書けばいい

公開日: 更新日:

 ここが銀座の老舗喫茶店ではなく、はたまたわたしが狂人と思われてもへっちゃらな性格なら、間違いなく「キィー」と猿のように叫びテーブルをひっくり返していた。それほどまでに期待通りの答え。嫌いなアンサーナンバーワン。なぜならわたしが微々たるものだがやっているSNSにも、時々「なりたい人」からダイレクトメッセージが届く。そこで嘘のように共通するのが「感動」という言葉だ。「自分が書いた作品で人々を感動させたいんです!」「感動と勇気を与えたいんです!」――はっきり言う。おおきなお世話だ。読者は読みたいように読むのであり、物を書くという初期衝動に対して、あまり使わないほうがよい言葉だと思う。

 かつてわたしは立ち行かぬ生活を長くしていた。ふと古本屋で手に取った一冊の本に救われた。中島らもさんの「今夜、すべてのバーで」という一冊だ。中島らもさんは、感動させるために書いたのではないと思う。それでもその本を読んだわたしは、ふとしたことから物書きになった。35歳の時である。

「目指さなくてもなるときゃなるのが、物書きと渡世人じゃないんですかね」

 ちょっと良いこと言ったかも、なんて思っていると数日後Y氏からメールが届いた。その旨21歳の青年に伝えたところ、ライオンさんと連絡を取りたがっているとのこと。ほら、面倒なことになった。

 なので明日の連載へつづく。

【連載】それでも物書きになりたい君へ

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