著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

小説には痛みと苛立ちが必要…恥をかく覚悟はあるのかい?

公開日: 更新日:

「どうすれば脚本家や小説家になれますか?」。こんな純朴な質問を投げかけてきたのは21歳の青年。うっかり相談に乗る羽目になったのだが――。

 ☆  ☆  ☆ 

 だが困った。わたしはまっとうな筋で物書きになったわけではない。簡単にわたくしのプロフィルを要約すれば、東京・阿佐ケ谷に生まれる。みごと安倍晋三氏もお通いになっていた素晴らしき私立高校を17歳で退学。

「おまえみたいなのはどこの高校も拾ってくれないから大学も無理だし、俳優にでもなったらどうか」と母親の前でたばこぷかぷか、大股を開きながら言ってくださった教頭先生のありがたき言葉により明大中野高校定時制へと進み、明治大学政治経済学部2部の推薦を頂く。これ大学には行ったわけだしと学食の位置もわからぬまま5日ほども通わず念願の自主退学。そして愚かにも俳優というものを志し35歳になるまで税金のぜの字を知らんでも生きていける、まったく立ち行かぬ男だったのである。

 その後は――また要約すると35歳で立ち行かなさすぎて劇団を立ちあげる。書く者がいなかったので脚本を書くと、自らが書いた台本のどの役にも自分をキャスティングできず、「こりゃ売れないわけだ」と天を見上げ麦焼酎を飲む。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした