著者のコラム一覧
神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

「だれ場」をどう演じるかが講談師の腕の見せどころ

公開日: 更新日:

 何事にも展開、流れがあるように講談も展開や流れがある。演者にとっては展開の中で中だるみする「だれ場」をどう演じるかが、観客に楽しんでもらうポイントだ。松鯉師匠はこう語る。

「よくビジネス書で引用される2・6・2の法則があります。例えば営業マンが100人いると、そのうちの2割が売り上げ成績抜群の凄腕。下の2割が成績下位の常連、6割が月給並みの仕事をするというものです。講談の連続ものの場合は、だれがやっても面白い場面が2割、退屈で面白くない『だれ場』が2割、残りの6割はしっかりやれば聞いてもらえる。とくに連続ものには必ず『だれ場』があります。そこをいかに面白くドラマチックにやって聞いてもらうか。

 歌舞伎にはこんな例が残っています。『仮名手本忠臣蔵』五段目、山崎街道の場。与市兵衛が娘を売って金を50両もらって帰ってくる山中で、定九郎という悪党に殺され、50両を奪われてしまう……。ここは江戸時代には『弁当幕』と言って弁当を食べて芝居をろくすっぽ見ない『だれ場』でした。

 歌舞伎役者の初代中村仲蔵が定九郎役に選ばれた時のこと。『だれ場の役を俺にくれるとはバカにしやがって』と悔しがった。そこで仲蔵は定九郎役を工夫して、だれもが注目するような役につくりあげ、それまでとは違う定九郎を演じるようになった。その結果、この場面がだれ場から見どころに変わり、以後、定九郎役は看板役者がやるようになった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  1. 6

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  2. 7

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  3. 8

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  4. 9

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  5. 10

    永野芽郁がキャバ嬢で「復帰」もM!LKファンやきもき…共演するかもしれない佐野勇斗への“キラー”ぶり警戒