原田曜平
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原田曜平マーケティングアナリスト・信州大学特任教授

1977年、東京都生まれ。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。2003年度JAAA広告賞・新人部門賞受賞。「マイルドヤンキー」「さとり世代」「女子力男子」など若者消費を象徴するキーワードを広めた若者研究の第一人者。「若者わからん!」「Z世代」など著書多数。20年12月から信州大特任教授。

内田恭子さんが振り返るフジテレビ時代「生き急いでいた」

公開日: 更新日:

 フジテレビのアナウンサー時代は「ウッチー」の愛称で親しまれた内田恭子さん(44)。「すぽると!」や「笑っていいとも!」など数多くの人気番組に出演後、2006年に同局を退社してフリーに転身。現在は子育ての傍ら、司会やナレーションなど幅広いジャンルで活躍中だ。そんな内田さんにフジテレビ時代や女性アナウンサーという職業の変遷について訊く!

 ◇  ◇  ◇

原田曜平「僕と内田さんは慶応大学の同じゼミの先輩・後輩の間柄です。内田さんが2歳上ですよね」

内田恭子「原田くんが大学3年時にゼミに入った時に、私はフジテレビ入社1年目でした」

原田「そうです。僕は学生時代、フジテレビでドラマを作る仕事がしたかったので、内田さんにお話を聞きたいと思って手紙を出しました。内田さんからしてみれば、僕はほぼ記憶にもないゼミの後輩。それなのに、何度もお台場に呼んでくれて、たくさん局員の方々を紹介していただいた。なんて親切な人だろうと感動しました」

内田「覚えてないけれどよかったです(笑い)」

原田「せっかくよくしていただいたのに、僕はフジテレビの最終面接で落ちてしまいましたが……。今改めてフジテレビ時代を振り返るとどうでしたか?」

内田「人にも恵まれて、仕事も楽しかったですよ。毎日休みなく死ぬほど働いて、やりきったと思ってやめたんですけど、実は7年間しかいなかったんですよね。濃密な時間でした」

原田「そもそも、なぜテレビ業界に?」

内田「私はアメリカのシカゴに高校生まで住んでいた帰国子女だったので、大学時代は英語を使った仕事に就きたいなと。安藤優子さんが英語でインタビューされている番組を見て、自分もこの仕事がしたいと思い、アナウンサーを志望するようになったんですね。勉強不足で恥ずかしい話ですが、私は安藤さんがずっと局アナだと。会社のエントリーシートの『尊敬するアナウンサー』という欄に、安藤さんと筑紫哲也さんと書いたのですが、お二方ともアナウンサーじゃなかった(笑い)」

原田「アナウンス学校に通ったりも?」

内田「大学3年生の時に通ったのですが、講師に“君はアナウンサーに向いてない”と言われてやめました」

原田「(苦笑)。採用試験はどんな感じでしたか?」

内田「大学3年生の夏、フジテレビが就活生を相手にアナウンサー一日体験を企画したので友達と行ってみたんです。私はテレビ局に行くこと自体が初めてだったので、刺激的でしたし、楽しい一日だったと大満足でした。そしたら、もう一度秋にアナウンサー一日体験があって呼んでもらえたんです。夏に比べて人数は絞られていたので、もしかしたら、その時に人事の方が見ていてくださったのかも」

原田「フジテレビは選考が早いので他を受ける前に決まっちゃったんですね」

内田「フジテレビじゃないと受かってなかったと思いますし、実際、フジテレビしか受けてないんですよ。いまだになぜ受かったのか決め手はわかりません」

■日韓W杯取材は超強行軍

原田「99年に入社されてフィールドキャスターとして報道で経験を積み、01年からはスポーツ番組『すぽると!』のキャスターに就任。一番忙しい時のスケジュールは覚えていますか?」

内田「鮮明に覚えているのは02年の日韓W杯関連の取材ですね。ノルウェーにサッカーの取材に行き、成田に戻って、そのまま羽田に直行して、淡路島に飛びました。W杯のキャンプ取材でしたが、どこの国のキャンプだったかも覚えてない(笑い)。日中は淡路島で取材をして、その日のうちにまた羽田へ。そのままお台場に戻って生放送に出たのが一番ハードでしたね」

原田「当時は働き方改革などもないし、若手社員はがむしゃらに働くのが普通でしたから」

内田「先日、先輩アナウンサーの阿部知代さんとご飯を食べた時に“大変だったのに上がフォローしきれてなくてごめんね”と言われました(笑い)。でも、私は基本的に嫌なことやつらいことをどんどん忘れてしまうタイプ。毎日生放送をやっていると、ひとつの失敗に固執していたら、やっていられません。大きな失敗をしようが、前に進むしかない。それが私の長所でもあって短所でもある。失敗を引きずらない代わりに反省しない(笑い)」

原田「女性アナウンサーはいわゆる『30歳定年説』がありましたけど、意識はされてましたか」

内田「当時はあったのかもしれません。私も7年しかフジテレビにいなかったのに、働いてやりきったと思っていたので生き急いでいましたよね。でも今は局アナではなくとも、フリーでもいろんなアナウンサーがいていいと思うし、いろんな人が適材適所でいろんな現場で働ける社会になってきています。テレビの世界も変わってきました」

原田「結果的には結婚されて寿退社の道を選ばれましたが、結婚しても会社に残るという選択肢は?」

内田「フジテレビは好きでしたが、当時のスケジュールだとアナウンサーとしては体力的に厳しいなと。それなら他の部署にとも思いましたが、異動先からも欲しいと思われないと異動はできない。私はエクセルも使えないので、どこにも受け入れてもらえないだろうと。でも、私の後輩の梅津弥英子は2人出産してもアナウンサーとして残っていますし、佐々木恭子さんや島田彩夏さんなど、ママになった人たちがフジテレビではきちんと仕事を続けています。後輩たちはそんな先輩方の背中を見ているから、すごくいいロールモデルになっているんだろうなと思っています」

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