著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

ぺこぱ松陰寺の特異なキャラに包んだ残酷なまでの客観性

公開日: 更新日:

 既にテレビで人気者になった2人にとって、昨年の「M―1」は「出ない」という選択肢もあったはずだ。

 松陰寺は「10年間予選で負け続けたが故に、決勝へ上がる事がどれほどの準備と気持ちと実力が必要なのか分かっているつもり」と、自身のブログ(20年9月10日)にも記している。「2020年、そのすべてにおいてぺこぱは満を辞していません」(同前)と。

 テレビの仕事で多忙を極め、新しい勝負ネタを作る時間もほとんどない。にもかかわらず、なぜ出るのか。売れている、売れていないは関係がない。「漫才ができる機会があるなら出よう。今、漫才ができる機会はとても貴重」(同前)だと考えたからだ。

「結果にこだわりたい気持ちもありますが、今回ばかりはその姿勢を自分自身に見せつけたい」(同前)という気持ちもあった。それを表すように、ぺこぱは多くの出場者が準決勝と同じネタで敗者復活戦に臨む中、別のネタを準備して挑み、そして敗れた。松陰寺はこう訴える。

「最終的には、いま自分がどういう時代に生きて、どういう世界を目指して、そして次の世代に何を残していくべきなのか。そういうことを今の世の中、考えなさすぎ。テレビでそういうこと言うと、芸人はお笑いだけやってろって、言われるじゃないですか。それも僕、違うと思ってて。意見は持ってていい」(テレビ朝日「ロンドンハーツ」20年1月12日)

 相方のシュウペイも、「僕たちの漫才で、松陰寺さんの肯定の言葉って、そういうの結構入ってるんですよ」(同前)と言う。特異なキャラクターでオブラートに包んだ残酷なまでの客観性と強い思いが、ぺこぱを唯一無二の存在にしているのだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋