著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

樹木希林さんの思い出<3>花の衣装でいこうと踊ってくれた

公開日: 更新日:

 樹木希林さんは仕事の連絡とかも自分でやってたらしいね。マネージャーもいなくてさ、全部、自分でさ。雑誌の撮影のときもそうだったね(雑誌「FRaU」2016年6月号掲載)。

 スタイリストやヘアメイクもつけないで、自分でやるんだよ。メイクも自分でやって、早いんだよ。衣装もね、自分でうちから持ってきてね。これが、いいんだよね~花柄の衣装とモックンの古着の白いシャツ。いいよなぁ~で、かっこいいんだよね。(希林さんは撮影に、娘婿である本木雅弘さんが家に置いていった白いシャツの袖を詰め衣装として準備していた)

 希林さん、踊ってくれたんだよ。最初は花の衣装でいこうって、「春風に吹かれて、天に飛んでいっちゃうような気分で」って言ったらさ、踊るように、はしゃいでくれてね。最高なんだ。いい笑顔をくれたんだよ。よそ行きじゃない笑顔をね。

褒めてもらって嬉しかった

 久世(光彦)さんの葬儀のときに(2006年)、希林さんが「花の写真集を買ったから」って寄ってきてくれて、京都で花の展覧会を見てきたって言ってくれてね。「あれはアラーキーしか撮れないわよね」って話をしてくれた(2002年、個展「花人生」〔何必館・京都現代美術館〕)。お墓の花を見たって言ってくれた。オレの花のはじまりだね。実家があった三ノ輪(台東区)の浄閑寺の墓場で撮った「彼岸花」。彼岸が終わって枯れかかった花を、墓守が捨てる前に白いボードを持って行って、日が暮れるまで撮り続けたんだ。

 希林さんは、オレが撮った久世さんの写真のことも褒めてくれてたらしいね。(「久世さんって、どう撮っても、いい男に写らないんです。でも、荒木さんが撮った遺影を見たら『あぁ、いい男だなぁ』って。」<「FRaU」2016年6月号より>)

 やっぱりさ、褒めてもらうのが嬉しいじゃない、みんな。褒めてもらって嬉しかったのが、樹木希林さんだね。「もう、あの花は荒木にしか撮れない」とか、そういう褒めかたをするんだよ。だからね。男の子は褒められるとね、いい気持ちになるんだよ(笑)。

(構成=内田真由美)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  4. 4

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  5. 5

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  1. 6

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  2. 7

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  3. 8

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  4. 9

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  5. 10

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  2. 2

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 8

    ソフトバンクに「スタメン定着後すぐアラサー」の悪循環…来季も“全員揃わない年”にならないか

  4. 9

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  5. 10

    小泉“セクシー”防衛相からやっぱり「進次郎構文」が! 殺人兵器輸出が「平和国家の理念と整合」の意味不明