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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<16>金子ノブアキ、KenKenの異母兄は生きていたら52歳に

公開日: 更新日:

 12月22日、午後7時15分、広尾の日赤中央病院(現・日本赤十字社医療センター)で2150グラムの男児を出産した飯野矢住代は、父親となったジョニーに見守られながら再び眠りについた。しかし、喜びも束の間、午後10時ごろ、インターホンから「飯野さんのご家族の方、すぐ看護室に来て下さい」というナースの声がジョニーの耳に届いた。

「お子さんが呼吸困難に陥っています、さっきチアノーゼを起こしたんです。最善の処置はしていますが、助かるかどうか、五分五分です」

 生まれたばかりの男児が危篤状態に陥っていた。「容体は一刻の猶予もない」と説明されたジョニーは、そのまま院内で一夜を明かした。しばらくは小康を保っていたが「どう転ぶかわからない」とも聞いた。23日もジョニーと矢住代の母の辰子は、待合室でじりじりとしながら経過報告を待った。

 その間、ジョニーも辰子も何度か矢住代とも面会している。当然この件は矢住代の耳に入れなかった。「何かあったの?」といぶかしそうな彼女に、「ううん、別に何もないよ。余計なことを考えないで今はゆっくり休んで」とジョニーはシラを切り通した。矢住代はこくりとうなずくと再び眠りに落ちた。

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