著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<7>全日本歌謡選手権はうるさ型の審査員が切って捨てるのが売りだった

公開日: 更新日:

「そば屋の兄ちゃんと美空ひばりが戦う」という奇抜な番組コンセプトが受け、「全日本歌謡選手権」は毎週、25%以上の高視聴率を叩き出していた。番組の企画立案者である読売テレビの敏腕ディレクターの斉藤寿孝は、2年後の1972年に読売テレビを退社し、IVSテレビ株式会社を設立する。「びっくり日本新記録」や、現在も続く「鳥人間コンテスト」(いずれも読売テレビ)。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)や「ちょっと待ったー」などの流行語を生み出した「ねるとん紅鯨団」(フジテレビ系)など多くの視聴者参加番組を世に送り出している。それらの源流にあるのが「全日本歌謡選手権」だった。

 しかしである。「リアリティーショーのはしり」とはいえ、実際に勝ち抜いたらデビューさせるわけで「やすやすと芸能界の切符を渡すわけにいかない」という心積もりも当然あった。そこで、淡谷のり子、浜口庫之助、船村徹、竹中労(ルポライター)、小池聰行(オリコン社長)という、うるさ型ばかりを審査員に据えた。彼らが出場者を厳しく切って捨てるというのが、番組の売りのひとつになっていた。隔週で出演していたのが、当時はまだ中堅どころだった平尾昌晃である。鈴木淳と山口洋子も隔週審査員だった。彼ら中堅審査員は大御所に気兼ねすることも多かった。それでも番組は大人気で、視聴率は25%を超え、抽選会には応募者が殺到した。

 そんなある日、一人の青年が応募してきた。弾き語りで生計を立てていた三谷謙だった。 =つづく

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃