著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

「hana -1970、コザが燃えた-」松山ケンイチが沖縄の怒りと苦悩を体現

公開日: 更新日:

 店の中では戦災孤児だったハルオとアキオ、彼らを引き取ったおかあ、そしてある事件で死んだ妹ナナコ(上原千果)──血のつながらない家族の対立・葛藤があり、店の外では沖縄にとって歴史的な事件が起ころうとしていた……。

 マブイ(霊魂)との交歓など、沖縄の死生観に根ざしたミステリアスな仕掛けもあり、薄皮をはぐように謎が少しずつ明らかになっていく展開はスリリング。

 モチーフとなっている「コザ騒動」は米兵の車が住民をはねた事故が発端だった。しかし、それまでも、米軍人・軍属による事件は毎年1000件を超え、米軍支配への鬱積していた沖縄の怒りに火がついたのがコザ騒動だ。略奪行為は一件もなく、「民衆蜂起」だったともいえる。

「ヤマトゥ(本土)では戦争が終わったんですか。戦争が終わったと思っているウチナーンチュ(沖縄人)は一人もいないと思いますよ」

 無邪気に「戦争を知らない子供たち」を歌う鈴木に向かって皮肉交じりにおかあが言うセリフがこの芝居の要諦といえる。

 松山ケンイチが怒りと悲しみを静かに秘めた陰影のある演技で舞台を引き締めた。たくましさの中に艶めいた余貴美子の演技も余韻を残す。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    引退した東山紀之に錦織一清演出で「少年隊」還暦コンサートのすすめ

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    バナナマン日村が体調不良で休養するまでの“暴食・連食デイズ”と妻・神田愛花「お腹いっぱい食べさせる」の献身愛

  4. 4

    高市首相は筋金入りの嘘つき! 経歴詐称疑惑で米下院関係者が決定的証言「インターンだった」SNSで猛拡散

  5. 5

    高市早苗氏に経歴詐称疑惑…事務所が認めた!「議会立法調査官」は“造語”だった

  1. 6

    「2世タレント」がまた! 俳優の村上虹郎が交際女性への壮絶DVで書類送検…父親は村上淳、母親は歌手UA

  2. 7

    国民民主に公認取り消された娘が自死、母親も追うように…党内を震撼させた玉木代表の「長文釈明」

  3. 8

    バナナマン日村が突然の休養発表 超売れっ子がネタにしていた肥満体形…ロケ番組多数に心配の声やまず

  4. 9

    高額療養費制度があるから医療保険はいらない? 病院の窓口業務を行う筆者が実際に骨折して感じたこと

  5. 10

    NHK朝ドラ「カムカム」村上虹郎の未知数な魅力…“2世枠”飛び越えた存在感が話題