銀座シネパトスが池袋で復活「喜怒哀楽を刺激するようなイズムは継承できる」
「地下鉄が通ると、劇場にガタゴト音がして、座っているシートもかすかに揺れた。それが何とも良かった」
そんな往年のファンの思い出話が花を咲かせている。東京は銀座・晴海通り、三原橋地下街にあったミニシアター「銀座シネパトス」。老朽化と耐震強度の問題から惜しまれつつ閉館して、間もなく10年。今や三原橋地下街も埋め立てられ、影も形も残っていないが、そのイズムを「銀座シネパトス復活映画祭」として蘇らせるとの発表があったのだ。
発案はシネパトス最後の支配人、ヒューマックスシネマのシアター事業部長、鈴木伸英氏。シネパトスと同じ系列の池袋HUMAXシネマズで、シネパトス流を受け継ぐ特集上映を5月20日からスタートさせるという。
「延べ5年ほど、支配人を務めさせていただいたころ、サラリーマンの皆さんが仕事の合間に映画を楽しんだり、上映後に三原橋地下街のお店で一杯やっていかれる姿を間近に見ておりました。入退場が自由で、その昔はたばこの紫煙が立ち上っていた劇場は隠れ家といいますか、職場とはまた違う居場所としても機能していたのだと思います。当時とは社会も様変わりし、当時のまま再現することはままなりませんが、懐かしの作品やここでしか上映しないようなマニアックな映画、喜怒哀楽を刺激するようなイズムは継承できると思ったのです」