開星(島根)野々村直通監督「グラウンドで倒れたら本望?そういうのはない。子供にも失礼ですから」
あす(14日)、2回戦で仙台育英(宮城)と対戦する開星の野々村直通監督(73)は、2010年春のセンバツでは「やくざ監督」として時の人に。今回、11年以来、14年ぶりに甲子園に戻ってきた。12年の定年退職に伴い一度は監督を退任したが、20年に当時の監督の不祥事もあり再登板。再建を果たした。大会前からの体調不良とあわせて、話を聞いた。
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──前任時との違いは感じましたか?
「野球とは縁のない生活で絵を描いたりしていたんですが、全く違いました。私の時代とは違って、県外から選手を集めていたことなどもあり、野球がうまい子と下手な子の格差が大きく、うまいやつが牛耳っているような環境。補欠は蚊帳の外。これでは高校野球ではないなと思いましたね」
──選手の気質は?
「全く聞く力がなかったですね。インターネットで打撃や投球のいろんな情報が入ってくる。そっちが先行して話は一応聞くけど、浸透しない。ですから『聞く力』というタイトルのミーティングを何度もやりました。聞く姿勢、態度がおまえらには足りない、と。聞く力を出せば、語る側も熱が出る。人間同士がより反応する。そんな人間力を養おうと。野球以前の部分にずいぶんと時間をかけました。僕はいま、教員ではないので、部長などを通じて学校の先生から、『野々村さんが帰ってきてだいぶ変わった』と言ってもらえて、うれしかったですね」