「夫と子どもで帰省してよ!」妻から“夫婦のルール”を破る男への抗議。義母と相性最悪なのになんで?
夫の実家に帰省したくない
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ〜女性編~】
奈々美さん(仮名)は結婚10年目の44歳。3歳年上の夫・リュウタさん(仮名)とのあいだには、小学生の息子と娘がいます。
結婚当初から奈々美さんは夫の母親との折り合いが悪く、コロナ禍をきっかけに「もう夫の実家に帰省しなくていい」という夫婦ルールをつくりました。しかし、ここへきてそのルールが反故にされそうだと強い憤りを抱いています。
「コロナ禍前には年に2回、子どもたちと夫と4人で夫の実家に帰省をしていました。だから夏休みと年末年始は、いつも憂鬱で仕方なかったですね。
義母が嫌いなわけではないんですけど、私とは根本的に合わないタイプ。生活のペースも価値観も、料理の仕方も好きな味付けも服装の趣味も何もかも違いすぎるんです。
だからできるだけ接点を持たないことがストレスを溜めずに、なおかつ穏便でいる唯一の方法なんです」
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義母との折り合いの悪さは知っているのに
コロナ禍はステイホームの風潮により、奈々美さんも夫の実家に帰省せずに済んでいました。
しかし今では、コロナ禍前のように最低でも年に2回は家族揃って帰省をするよう夫から求められ、困惑しています。
「話が違うんですよ。だって、コロナ禍に『もう家族で帰省はしなくていい。帰省するとしても、俺と子どもたちだけで行ってくるから奈々美は東京に残っていていいよ』って夫は言っていたのに、急に『コロナ禍も明けたし、そろそろ普通に帰省したほうがいいな』って…。
義母と私の折り合いが悪いのは、夫だってよく知っています。それなのに、なんでまたみんなで帰省をする話が出てくるのか、意味がわかりません」
結論が出ないまま夏休みに
今年の夏休みには当たり前のように家族での帰省を計画をしている夫に、奈々美さんは強く抗議。その後、夫とは数日間にわたって口論が続き、とうとう結論は出ないまま夫婦ともに夏休みに突入しました。
「夫の実家は新幹線で40分くらいの距離なので、帰省といってもそんなに遠くはないんです。だから普通に遊びに行く感覚で、夫と子どもたちだけでサッと行ってくればいいのに…。
なぜか今年は夫が私も一緒に帰省することに強くこだわっていて、私が拒んでいるのに、まったく話になりません。
義母と会うとストレスが溜まるし、帰ってきてからもしばらくイライラするし、とにかく私としては精神衛生上よくないんですよ…」
夫との話し合いがまとまらず、無理やりにでも帰省に連れて行かれそうで気分が重いと話す奈々美さん。
こうなったら、出発の日に仮病でも使ってひとり東京に残るしか方法はないのだろうか…とまで悩んでいます。
前例を作りたくない!
「どうにかして、私も一緒に帰省するのは避けたいですね。夫と子どもだけで行ってくれば済む話なのに、なぜ私を巻き込むのか意味がわかりません。
今どきは、夫婦それぞれがバラバラで自分の実家に帰省するスタイルも増えているのに、ウチだってもうそれでいいじゃないですか。
夫がこんなに保守的な人だと思わなかったし、私の意見を無視して帰省させようとしているのも、ものすごく不愉快です。
夫の希望通りにはしたくないですね、なんとかして阻止しないと。
だって今年、夫の言う通りに帰省しちゃったら“前例”をつくることになっちゃうじゃないですか。そうしたら今年の年末も来年もまた、私は帰省しなくちゃいけなくなります。
せっかくコロナ禍に帰省しないでいいルールをつくったんだから、なんとかして今年の帰省も避けたいです」
◇ ◇ ◇
どんなに説得されようとも、強い意志で、帰省を拒む覚悟を示す奈々美さん。
では、夫であるリュウタさんが妻も一緒に帰省をすることにこだわっている理由とは…?
次回に続きます。
(並木まき/ライター・エディター)