7月大歌舞伎「猿之助、海老蔵、菊之助」同世代競演の熱気、音羽屋・成田屋の子役もつづく
7月の歌舞伎座は、市川猿之助、市川海老蔵、尾上菊之助と、同世代の3人が競い合い、熱気がある。
第一部は猿之助の「當世流小栗判官」。幕間を入れると5時間前後の芝居を、今回は3時間弱に。名場面を残し、初めて見る人にも話の筋がわかるようにした、短縮版というより凝縮版。
いつものことだが、猿之助は大熱演。一座が揃っての上演で、アンサンブルも破綻ない。
第二部は海老蔵の「夏祭浪花鑑」。この演目は成田屋のものではなかったが、18代目勘三郎に教えてもらったもの。2008年から毎年のように演じていたが、14年に上演して以来となる。主人公・団七の子を堀越勸玄が演じ、この演目での初の父子共演。
終盤の舅を殺すシーンは、前回までは、「精神喪失状態での殺人」として裁判で無罪になりそうなほどの狂気があったが、今回はそこには至らず、「過失致死」となっている。いつもは歌舞伎座を狭く感じさせる破天荒なエネルギーが、今回は希薄。
舞踊劇「雪月花三景」では、娘・市川ぼたんが本興行では初の歌舞伎座出演で、勸玄も出て父子3人での共演。前半は静謐(せいひつ)で、最後は華やかに打ち上げる。