著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

総理は戦地には行かない。命令する奴は押印かサインをするだけだ

公開日: 更新日:

 昔の大日本帝国の司令官はよく腹を切ったものだ。ちなみに、大東亜戦争の敗戦記念日も近いことだし、何作品か紹介してみようか。14日は天皇の御前会議でポツダム宣言受諾を決めた帝国政府が大騒動になった日だ。故・岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」(1967年版)が見事に描いていて、暑さもぶっ飛ぶほど緊迫してゾッとさせられる。降伏するまでの一日の動きは、近年の松竹版より分かりやすい。そして、受諾拒否して本土決戦するべきだと突っ張る三船敏郎扮する阿南陸相の切腹シーンがエグい。さらにもう一本、血の気が引いて暑さも忘れさせる切腹シーンが用意された「あゝ決戦航空隊」(74年東映)も面白い。こっちは神風特攻隊を画策し、2000万特攻を考えていた大西中将と抗戦を続けたかった軍人たちの群像劇で「仁義なき戦い」の脚本家、笠原和夫の力作だ。ここでは鶴田浩二扮する大西の画面中血まみれの切腹シーンが空前絶後のエグさだ。敗戦の日はあちこちで切腹や自決者が続出したようだ。

 そんな土壇場までこないと、戦争を終わらせることができなかったのかとつくづく考えさせられる映画だ。これらは岸田の改造内閣こそ見るべきだな。国軍に拘っている連中もいるだろうし。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  2. 2

    福山雅治「ラストマン」好調維持も懸案は“髪形”か…《さすがに老けた?》のからくり

  3. 3

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  4. 4

    福山雅治イメージ大暴落…「路上泥酔女性お持ち帰り」発言とファンからの"賽銭おねだり”が時を経て批判集中

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  2. 7

    山﨑賢人&広瀬すず破局の真偽…半同棲で仕事に支障が出始めた超人気俳優2人の「決断」とは

  3. 8

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  4. 9

    福山雅治“ローション風呂”のパワーワード炸裂で主演映画とCMへの影響も…日本生命、ソフトBはどう動く?

  5. 10

    ご都合主義!もどきの社会派や復讐劇はうんざり…本物のヒューマンドラマが見たい

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「U18代表に選ぶべきか、否か」…甲子園大会の裏で最後までモメた“あの投手”の処遇

  2. 2

    コカ・コーラ自販機事業に立ちはだかる前途多難…巨額減損処理で赤字転落

  3. 3

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 4

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 5

    山﨑賢人&広瀬すず破局の真偽…半同棲で仕事に支障が出始めた超人気俳優2人の「決断」とは

  1. 6

    ご都合主義!もどきの社会派や復讐劇はうんざり…本物のヒューマンドラマが見たい

  2. 7

    「石破続投」濃厚で党内政局は形勢逆転…そしてこれから始まる“逆襲劇”

  3. 8

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  4. 9

    巨人・坂本勇人に迫る「引退」の足音…“外様”の田中将大は起死回生、来季へ延命か

  5. 10

    自民保守派が“石破おろし”で分裂状態…次期党総裁「コバホークだ」「いや高市だ」で足並み揃わず