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佐高信評論家

1945年山形県酒田市生まれ。「官房長官 菅義偉の陰謀」、「池田大作と宮本顕治 『創共協定』誕生の舞台裏」など著書多数。有料メルマガ「佐高信の筆刀両断」を配信中。

崔洋一が『血と骨』の原作者・梁石日に「小さな破滅」を迫ったわけ

公開日: 更新日:

崔洋一(2022年11月27日没 享年73)

 崔洋一にインタビューしたのは『週刊金曜日』の2004年11月5日号でだった。梁石日原作の『血と骨』が映画化されたのを機にである。

 原作では主人公の金俊平は「2メートル近い大男」という設定になっている。ビートたけしではちょっと合わないから、「崔さん自身が演じればよかった」と問いかけたら、崔は笑って、最初からビートたけしを想定していたと答えた。

「彼のOKが出なければ、僕の中で映画化はなかったですね」

 こう語る崔と、韓流ブームをもたらした『冬のソナタ』論をした。

あのドラマでは基本的に肉体性が落とされていますね」

 私がこう断定すると、崔は、

「はい。その通りだと思います」

 と応じたので、私は、

「ある意味で、『血と骨』と対極に位置するドラマだと思うのですが、そこに意識されてましたか?」

 と問いかけた。 

 それに対して崔は「韓流ブームにカウンターを、というような意識はなかったですね」

 とアッサリ。

『血と骨』はいわばコメ、主食の映画で、『冬ソナ』はお菓子みたいな感じである。

 戦後日本の民主主義教育がちょっと横に置いたエロスと暴力を正視せよと『血と骨』は突きつける。

『冬ソナ』にはないそれを、「ペ・ヨンジュン、きゃー」と騒いでいる人たちに見てもらいたいと私は思うが、そう言うと崔は、

「見てほしいですね。見た結果、3、4日はうなされたとしても、入場料くらい安いもんでしょう」

 と笑った。


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