【追悼】陳建一さん 「料理の鉄人」終了後も大人気だった“中華の鉄人”の功績とバリュー

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「この番組で時の人となった鉄人たちは当時、本業の料理店には行列ができた他、CMに映画出演、本の印税やら講演料で売れに売れていました。高級食材を惜しみなく、ふんだんにつかった料理は絶賛されたものです」と、あるTVマンは言う。

 陳さんは日本での四川料理の草分けとされる陳建民氏と日本人の母を持ち、父から受け継いだ四川飯店グループを国内外に広めた。飲食業界に詳しい広告プロデューサーはこう言う。

「陳建一のバリューはそれだけじゃありませんよ。日本ハムと契約して数々の冷凍食品を出し、コロナ禍の巣ごもりでかなりの売り上げを伸ばした。『和の鉄人』道場六三郎さんは92歳の今も現役で、道場さんの名前をつければ、その商品はまだまだ売れる。鉄人のバリューは凄いのです」

■「料理の鉄人」を見て憧れ、料理人志望者増

 ただ、この業界も後進が育っていない。

「鉄人たちに類するようなスター料理人が出ていないんです。人気料理研究家はたくさんいても、皆まじめというか、小粒。いま40歳ぐらいの、ちょうど脂ののった料理人たちに料理の道を選んだ道を聞くと、ほとんどが『料理の鉄人』を見て憧れたと答えます。けれど、陳さんのように自分の名前で店を出したり、冷凍食品やコンビニ商品にまで名前が出ていたり、というところまでいかない。調理師免許を取る人もじわじわ減っているし、料理人になっても、独立を目指すわけでもなく、雇われ人で満足してしまったりするんです」

 3Kのイメージもある飲食店業界で、料理人はかっこいい、有名にも金持ちにもなれるとの夢を身をもって見せたのが陳さんら鉄人たち。それこそが鉄人の最も大きな功績かもしれない。

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