(2)中尾ミエさんが語る挨拶の大切さ…「おはようございます」で小学生と“知人”に

公開日: 更新日:

中尾ミエさん(76歳)

「どんな世代でもそうかもしれませんが、とくに私たちのような世代が、愉快に毎日を過ごそうと思ったら、一緒にいて楽しい人がどれだけ自分のまわりにいるか。それが、とても大事なことだと思うんです。それも、古くからの付き合いの人ばかりじゃなく、いくつになっても新しい人と出会えれば、いろんな意味で刺激にもなるし、気づきというか発見も得られる。それって、楽しく生きていくためには欠かせないことだと思いますね」

 愉快に暮らしていくために「機会があれば出かけていって、人に会って、話をする」を日ごろから心がけているという中尾さん。人との交流の大切さを語る。

「もちろん人付き合いって、愉快なことだらけかっていわれれば、決してそうじゃない。たまには“わずらわしいな”って感じることもあると思うんですよ。じゃあ、孤独がいいかっていえば、そうじゃない。わずらわしさも一緒についてくる人付き合いのある毎日と、わずらわしさはないけれど孤独という毎日のどっちを選ぶかって問われたら、私は人付き合いのあるほうを選びますね。もっとも、それは私が家にジッとしていられない性格なだけかもしれませんが……」

■挨拶しなくなったら、人付き合いの間口はどんどん狭くなっていく

 そんな中尾さん、いい人付き合いのきっかけづくりのコツを教えてくれた。

「ありきたりのことですが、やっぱり大事なのは挨拶。私は10代半ばで芸能界デビューして、幸せなことに、いい先輩方に恵まれてきたんですが、そういう先輩方に正しい挨拶の大切さを教えてもらいました。とくに森繁(久弥)さんからは、舞台をご一緒させていただいたりしたときに何度も教えていただきました。森繁さんもそうだったと思いますが、ほかの先輩方だって、好きで小言を言っているわけではないし、意地悪をしているわけでもない。私のことを思って、挨拶を一から教えてくださったんだと思うんです。本当は面倒くさいことはやりたくない。でも、年長者の責任として教えてくださったんだと……。感謝しています。とにかく芸能界にかぎらず、人付き合いの基本は挨拶ですよ」

 そして、あるエピソードを紹介してくれた。

「私は毎朝、公園でお仲間と一緒に体を動かしているんですが、公園までの道の途中でいつも小学3年生くらいの男の子とすれ違っていたんです。会うたびに“おはようございます”って声かけていたんですが、まったく反応がない。それでもすれ違うたびに私が声をかけつづけていたら、あるとき小さな声で“おはようございます”って応えてくれた。そして日を追うごとにだんだん声も大きくなって、明るい表情で応えてくれるようになったんです。うれしいですよね。会話はほとんどしないけど、目下、私にとっての最年少の知人です。彼が私をどう思っているかは別ですけど……」

 そしてつづける。

「自分からすすんで挨拶とか声がけをしない人がいますけど、どうなんでしょうかね? 愉快な人付き合いをしたいなら、挨拶はケチらないほうが賢い生き方だと私は思います。とくに年配者にとっては、若い人との交流のきっかけですからね、挨拶は。“わずらわしい”“面倒くさい”って挨拶ができなくなったら、人付き合いの間口はどんどん狭くなっていきますよね」 =つづく

▽中尾ミエ(なかお・みえ) 1946年、福岡県生まれ。1962年にデビュー曲「可愛いベイビー」が大ヒット。71年にリリースされたシングル曲「片想い」は30万枚の売り上げを記録。その後、歌手活動以外にも、俳優として数々のドラマ、映画、舞台に出演。また、現在、情報番組「5時に夢中!」(TOKYO MX)の金曜コメンテーターとしてレギュラー出演中。著書「76歳。今日も良日」(アスコム)がベストセラーに。

※衣装提供DUEdeux

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  2. 2

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 3

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  1. 6

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  2. 7

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  3. 8

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  4. 9

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  5. 10

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情