猿之助の代役・中車主演「菊宴月白浪」事件を連想させる「切腹してくれ」に客席から笑いが

公開日: 更新日:

 一番目には團十郎は出ず、座頭として他の役者に花を持たせた。「神霊矢口渡」は中村児太郎が主演で、團十郎の期待に応え、親に逆らい愛に死ぬ女を堂々と演じきる。その強い女には、歌右衛門(6代目)かと思わせる一瞬があった。市川男女蔵が、父・左團次が演じていた渡し守の頓兵衛。古風で貫禄があり、今後に期待。謳われてはいないが、4月に亡くなった左團次への追悼の念を感じた。

「神明恵和合取組」(通称「め組の喧嘩」)は團十郎が何度か演じてきたもの。鳶の「め組」と力士の喧嘩の話で、喧嘩のきっかけとなる事件から、鳶頭の辰五郎が死を覚悟し、家族と別れ、決闘にいたるまでの心理状態を、丁寧に描く。決闘へ行く鳶たちが水盃を交わす場面には新之助も登場し、客席を沸かした。

 最後は團十郎・新之助・ぼたんによる、新歌舞伎十八番の舞踊劇「鎌倉八幡宮静の法楽舞」。海老蔵時代の2018年に復活させたものを、さらに改訂し、新之助とぼたんが押戻しで登場して、沸かせる。大きな悲劇を乗り越えてきた家族の、晴れやかで清々しい姿で、幕が閉じられた。そこには、歌舞伎界の上に漂う暗雲を晴らしたいとの、市川宗家の思いが見えた。

作家・中川右介)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    NHK3年連続赤字で番組制作費82億円カット…タモリもダーウィンも華大も豊臣もピンチ!

  4. 4

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 5

    日テレが「news LOG」和久田麻由子を全面バックアップできない切実事情…佐藤栞里や有働由美子との決定差

  1. 6

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 7

    椎名林檎と成田悠輔氏の親密デート発覚!「異色の超ビッグカップル」誕生も「いわくつき」と見られるワケ

  3. 8

    【5.独走態勢】「ミッドナイトフライト」「夜間飛行」が候補だったが、明菜が「北ウイング」を提案した

  4. 9

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  5. 10

    元ボクシング世界王者・薬師寺保栄が妻に無断でレースQの愛人を「養女」に…妻が明かした苦しい胸中

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ