著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

丹波哲郎さんは台本を覚えない?「セリフはカンペを読む」と笑って教えてくれた

公開日: 更新日:

 どんなところへ張り付けるか伺うと、前に立って後ろ姿が映らない俳優さんの背中、机の上にある物の手前側。そしてある時は「お茶を飲む時のワンショットだったから湯飲みの中に紙を入れて、いかにもうまそうにお茶を飲むようにしながら湯飲みの中のセリフを読むんだけど、張ってないから角度を上げすぎて紙が落ちてきて撮り直しってのもあったな。あれは難しかった!」とまたまた大笑い。

「笑い事やおまへんで! 若い時からそうでしたん?」「そうだね、覚えられないんだからしょうがないじゃない。それでもちゃんとそのシーンの芝居はしてたんだから、大したもんだろ? ハッハッハッ」と高笑い。

 どこまでがホントか冗談かわかりませんでしたが、大物のオーラを放ちながら、実に気さくに話してくださいました。時に観覧者の皆さんの方に「面白い?」と声をかけたり、周りのスタッフがピンマイクをチェックしたり、お水を替えたりするたびに「ありがとう!」と必ず声をかけられ、常にジェントルマン。

 他にも失敗がありそうだと聞いてみると、「撮影じゃないんだけど、車に乗っててスピード違反だったかなんかの違反でパトカーに止められたんで『ご苦労さん、Gメンの丹波だ』って言ったら『本物の警察です』って返されたけど、ふざけるなとか特に怒られなかったね。あれは面白かった。許してくれりゃいいのにな、同業なんだから」。

 雅くんが「同業ちゃう! アンタ役者や!」とツッコむと、「ハッハッハッ、そうだったそうだった!」と豪快に笑う。“豪放磊落”という言葉は丹波哲郎さんのためにあるんじゃないかと思わせる本当に存在感のあるすてきな方でした。

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