初主演映画を撮ってくれた“職人監督”・渡辺祐介さんとの思い出

公開日: 更新日:

 このシリーズの後、アタシにお声をかけてくださったの。「男はつらいよ」の女版をやりたいってことで、研ナオコに白羽の矢が立ったわけ。結局、「美女シリーズ」を3本やらせていただいたの。

 当時は映画監督って怖いイメージがありましたけど、すごく優しくしてくださって、他のスタッフやキャストに気を配るし、人当たりはいいし……おまけに顔がいいんですよ(笑)。いや、ホントに俳優さんになった方がいいんじゃないかって思ったほど。

 その後、監督がインタビュー番組に出られたときに、誰か会いたい人はいませんかって聞かれ、「研ナオコ」ってリクエストしてくださったの。何年ぶりかでお会いして久しぶりにいろんなお話をさせていただいて……このときのことは忘れられません。

 58歳。若くして亡くなられたんです。とにかく、どんな形でもいいからお別れをしたいと思った。普通はマネジャーについて行ってもらうんですけど、そのときは一人で、ご葬儀が行われている京都のお寺を探して行きました。

 アタシの不良仲間で、堺正章さんの恋人役として共演した子が結婚して子供もできて京都に住んでたの。彼女が「子供がいて行けないから、私の分までお願いね」って。行ったら、親戚の方や映画関係の方がたくさんいて……もう、そんなこと関係なしに、監督のそばに行きたくてね。やっとの思いで棺の近くまで行ったけど、お焼香もできず、ただ呆然と監督の遺影を見ていたことを、いまも鮮明に覚えています。

(構成・藤井優)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る