著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

石田靖は常に全力投球 熱意に押された先輩が「よっしゃ!石田の気の済むまでやろ!」と

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 アマレス出身の石田くんは元々のパワーが違うので、普通に頭を叩くツッコミのつもりが、相手が一瞬脳振とうを起こしたように固まってしまったり、コメディーでは布団をかぶって隠れているハイヒールのリンゴちゃんに座卓から思い切りダイブし、左手首を骨折させたりと常に全力投球。それでもみんなは「ちょっとは加減せえよ!」と言いながらも一生懸命にやった結果やから“しゃーないな”と好意的に受け止めていました。

 吉本新喜劇では意図的な話の強引さや展開の早さはつきもので、それがまた笑いを生んでいくのですが、石田くんは納得がいかないと先輩方にも「すいません。もう一度お願いします!」「ここは強引すぎると思いますんでもうちょっと考えましょう!」と頭を下げて訴えます。

「これでええんちゃうのん?」と最初は渋っていた先輩方も次第に熱意に押されて「よっしゃ! 石田の気の済むまでやろ!」と稽古時間が長くなるのを承知で、みなさん快諾して付き合って一緒に考えてくださるようになりました。これも石田くんの人柄の良さがあったからでしょう。


 ある時、伊丹空港から難波まで石田くんの車に同乗させてもらい、私の「石田靖のポジションを確立したな」という問いかけに「よう言いますわ! 僕ら頂いた仕事を一生懸命やる、それだけですよ。先生は体を大切に元気でおってくださいよ! よう体調崩すねんから、あきませんよ!」と大笑い。いつも心優しい石田くん。これからも元気でお茶の間に明るい笑顔を届けて欲しいと思います。

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