俳優・堀内正美さんは「がんばろう!!神戸」の発案者 阪神・淡路大震災から30年の「思い」とは…

公開日: 更新日:

堀内正美さん(俳優/74歳)

 NHKの朝ドラ「おむすび」に神戸の町中華店主役で出演している堀内さん。1970年代にニヒルで愁いを含んだ顔立ちと雰囲気で人気を博し、知能犯、政財界の黒幕など個性派としても活躍したが、84年に神戸に移住。95年の阪神・淡路大震災では、神戸市民の合言葉「がんばろう!!神戸」を提唱し、市民ボランティア団体「がんばろう!!神戸」を結成するなど被災者支援に尽力してきた。堀内さんの震災から30年の「思い」とは──。

  ◇  ◇  ◇

「震災から今年で30年。被災地支援はどうあるべきか、私の経験を次世代に教訓として残したいと思って本を出したんです。当時、ボランティアとして活動した若者たちが今、全国の社会福祉協議会や自治体の職員になっていて、講演依頼が結構あるので、きょうも取材と本のサイン会を兼ねて神戸から来ました」

 渋谷の談話室で会った堀内さん、そう言ってほほ笑んだ。著書は「喪失、悲嘆、希望阪神淡路大震災その先に」(月待舎)。

■「同情してるより支援が先」と現場に急行

「私が震災に遭ったのは東京から阪神に移住し、調剤薬局を経営して11年目でした。自宅は北区にあり、比較的被害は少なかったのですが、3キロしか離れていない長田区の方からは白い煙が上がっている。被害の少ない地域ではテレビに映る避難所を見て『大変だね』と同情している。そんなこと言ってる間に支援するのが先だろうと、すぐに車を飛ばして住民の救助活動に当たりました」

 コミュニティーラジオのパーソナリティーを務めていたので、被災者からの悲痛な訴えが殺到した。

「皆さん、何かにすがりたいから、どうしても電話が長くなる。そんな時、『頑張ろうね』と言うと、『はい』と言って電話を置いてくれる。『頑張ろう』という言葉が持つ“力”に気づいて、それで『がんばろう!!神戸』を合言葉にボランティアグループを結成したんです」

 これが後に、全国に広まった「がんばろう!!神戸」というスローガンにつながった。

 その後、「訪れた遺族や被災者が少しでも前を向いて歩けるように」との思いを込めて、神戸市中央区の東遊園地に全国から集めた火をともす「1.17希望の灯り」の設置に尽力。2011年の東日本大震災ではアドバイスを求められ、「義援金だけでなく、救援物資とメッセージをパックで送ることで被災者と心のつながりを持てるのでは」と「たすきプロジェクト」を立ち上げた。

 その後も、毎年、「希望の灯り」や講演活動を続けている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも