著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

朝丘雪路さんが常に口にしていた言葉は「感謝」…人生が凝縮されているようだった

公開日: 更新日:

朝丘雪路さん

 当時、50代の後半になっていらしたかと思いますが、物腰柔らかく、ちょっとはにかむようでいながら目を新人のようにキラキラさせ、丁寧に挨拶をされる姿はこれぞ「お嬢さま」でした。

「わたくし専属の教育係がいつも一緒におりましてね、学校へ行くのも専属車夫の引く専用の人力車で行き帰りしておりましたから、放課後に同級生と遊ぶようなことはございませんでしたね」と子供時代の話を始められました。MCの(トミーズの)雅くんが買い物はどうしていたのかと聞くと「欲しいものはすべて買い与えられていましたから、宝塚音楽学校に入るまではお金を使ったことがなかったんです」。ずばぬけたお嬢さま具合に観覧者も唖然。

「ようそんな箱入り娘が宝塚へ行けましたね、お父さん(日本画家の伊東深水)反対しはったでしょう?」

「それがね、宝塚を創られた阪急グループのオーナーさんと父の親友の方に“こんな浮世離れした生活を続けてたら、娘さんがだめになるぞ!”って責任を持って宝塚の寮で預かるから安心してくれって、説得されて渋々OKしたみたいです。それで初めて父の元を離れることになったのね」とまさに浮世離れしたドラマか映画のワンシーンのような話を淡々とされていました。宝塚時代の話になると目を輝かせながら「見るものもやることも初めてのことだったでしょう? 楽しくって、生まれて初めて、お友達とだけで出かけて、お買い物したり、お食事したりして、自分でお金を払って、電車の切符の買い方を教わって、でもひとりでは怖くてなにもできなかったわね。みなさんが当たり前にされてきたことを17歳でようやく経験したんですからもううれしくって」と両手を握りしめて体を震わせておられたのが印象的でした。

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