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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

昭和の名優の一声で気づかされた 石倉三郎「辛抱」の果ての円熟味

公開日: 更新日:

「辛さを抱くって書いて辛抱だよな。お互いに辛抱するのさ」
 (石倉三郎/フジテレビ系「ボクらの時代」5月4日放送)

  ◇  ◇  ◇

 こわもてながら味のある存在感で映画ドラマに欠かせない石倉三郎(78)。親友である寺尾聰に「最高の奥さまなんだよね」と言われた石倉は「夫婦っていうのは辛抱だからね」と言って続けた言葉を今週は取り上げる。「惚れて一緒になったわけだからね。多少嫌なことあったって惚れた時のこと考えりゃいい」と続けた。

 この「辛抱」の話を、水道橋博士は別の場面で聞いている。ドラマの撮影中、博士の父が脳卒中で倒れた時。見舞いから日帰りで帰ってきた博士に石倉は「芸能界は親が死んでもトチれない世界なんだよ。だから辛抱だ。辛抱ってのは、辛さを抱きしめるってことだからな。今はひとりで抱きしめろよ!」と声をかけた。そして「辛抱ってなあ我慢とは違うんだよ」と添えた(文芸春秋「藝人春秋」2012年12月6日発売)。

 石倉は三木のり平に憧れ、映画俳優を目指して上京。生涯の師となる高倉健と知り合い、東映の大部屋俳優となった。だが、理不尽なスタッフを我慢できずに殴ってしまい、干されて東映をやめざるを得なくなってしまう。そこから長い下積み生活が始まった。そんな中、坂本九の付き人のような形で専属司会者となった。

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