「美空ひばり」がいたからカレンの美声は日本の「国民的洋楽」になった
音程を決して外さないのは当たり前、見事な表現力を駆使しながら、聴き手を包み込むような中音域で迫ってくる。
そんなカレンの歌は、現代の邦楽でいえば、竹内まりやに近いと思うが、ここで思うのは、邦楽の歴史の中で、もっと近いシンガーがいたのではないか、ということだ。
というか、日本に、あのシンガーがいたから、あのシンガーが啓蒙した音楽的土壌があったからこそ、カレンが圧倒的に支持されたのではないか、というほどの。
美空ひばり。
もちろん音程を外すことなど皆無、同じく中音域を中心に、これでもかこれでもかという表現力で、歌の持つ世界を完璧に表現したお嬢。また演歌からロカビリーまで、ジャンルレスなレパートリーを歌ったのも、カレンとそっくりだ。
つまり美空ひばりがいたからこそ、カレンの良さが半世紀前の音楽ファンにも「分かった」のではないだろうか。
「オンリー・イエスタデイ」は、カーペンターズの曲の中で、私がいちばん好きな曲だ。何げない歌い出しから、カレン・カーペンターの歌の魅力が詰まっている。