映画「国宝」ヒットの背景…古典芸能を扱いながら幅広い観客の心を掴む

公開日: 更新日:

“荒事”を得意とする江戸歌舞伎と“和事”の世界の上方歌舞伎

 次にこれが上方歌舞伎の世界を描いていることも、成功の要因だ。江戸歌舞伎は武士や鬼神を荒々しく演じる“荒事”を得意とするが、上方歌舞伎は女性的な動きで恋愛描写をする“和事”の世界。喜久雄も俊介も女形役者で、彼らの美しさを強調した映像も大きな魅力。しかも歌舞伎の演目全体を映像に収める「シネマ歌舞伎」とは違って、ここでは喜久雄と俊介の演目に懸ける思いが、映像と一体になっている。演目全体の中から演者としての彼らが最も美しく見える瞬間、一番感情が乗った動きにカメラは寄っていき、観客が見たい映像を見せてくれる。これはチュニジア人のソフィアン・エル・ファニをカメラマンに起用したこともポイントだ。

 かつてダニエル・シュミット監督が坂東玉三郎を捉えたドキュメンタリー映画「書かれた顔」(1995年)でスイス人の名カメラマン、レナート・ベルタを起用し、踊りの美を強調して玉三郎の「藤娘」などを写し撮ったことがあったが、海外の人にもわかる歌舞伎の美の瞬間が、この映画にも収められている。翻って言えば、その映像は歌舞伎に関して素人の日本の観客たちにも十分アピールするものになっている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松村北斗&目黒蓮の"2強"を崩すSTARTO社の若手演技派は? 男性アイドル戦国時代のカオス

  2. 2

    森香澄はピアニストを夢見て練習に打ち込むも、1浪して東京女子大現代教養学部へ…高校は都立新宿

  3. 3

    森香澄には「あざとかわいい」にとどまらない「主役体質」の素質アリ

  4. 4

    見上愛は桐朋女子中高から日芸演劇学科に進んで演出家を志す 大学同級生・河合優実との本当の関係

  5. 5

    生田斗真の活躍を見て育った弟・竜聖は川崎の公立中学から中大法→フジテレビへ

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    「Aぇ!group」草間リチャード敬太は事件から“ほぼ復活” 大阪学院大で学んだ苦労人の前途

  3. 8

    嵐活動終了で松本潤との「結婚待望論」再燃も…キッパリ否定の井上真央が送る“幸せシングルライフ”と結婚観

  4. 9

    亡くなったガッツ石松さんの“OK牧場”伝説 防衛戦前夜ウイスキーを一気飲み「一瞬で天国に駆け上がった」

  5. 10

    大谷翔平にアプローチ「女優N」って誰? ネットバラエティーのイニシャルトークに向けられる悪評の“根源”

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松村北斗&目黒蓮の"2強"を崩すSTARTO社の若手演技派は? 男性アイドル戦国時代のカオス

  2. 2

    皇室典範改正のタイミングで…愛子さまに「海外留学」説が浮上

  3. 3

    渋野日向子に「全米女子プロ」逆転出場の道…勝みなみと3年連続タッグでツアー唯一のダブルス戦V狙う

  4. 4

    不倫と嘘が止まらない高市内閣の人格と運命…エロ文科相が「道徳心」を説くお笑い

  5. 5

    キオクシア株は「高値の花」…2期連続過去最高決算で時価総額40兆円も、個人投資家比率わずか5%

  1. 6

    森香澄はピアニストを夢見て練習に打ち込むも、1浪して東京女子大現代教養学部へ…高校は都立新宿

  2. 7

    男性シニアの再就職は元公務員でもこんなに難しい 中高年がハマりやすい「リスキリング」の落とし穴

  3. 8

    森香澄には「あざとかわいい」にとどまらない「主役体質」の素質アリ

  4. 9

    高市事務所が選挙ネット戦略で手だれに接近のナゼ…中傷動画作成・拡散のキーマン松井健氏の“意外な実績”

  5. 10

    「ペチュニア」と「キンギョソウ」が見頃を迎えた花と緑のテーマパーク「東京ドイツ村」入場券を5組10人にプレゼント