映画「国宝」ヒットの背景…古典芸能を扱いながら幅広い観客の心を掴む

公開日: 更新日:

130年近い時を経て溶け合った歌舞伎と映画

 またこれは喜久雄が15歳の時から約半世紀を描いているが、その時代背景の大部を占めるのが昭和の時代。芸を究めるためなら、喜久雄にとっても俊介にとっても、女性たちは人生の踏み台になって消えていく存在だ。見上愛高畑充希森七菜が演じる女性たちの悲しみや切なさの描写を最小限に絞って、喜久雄と俊介の関係性にフォーカスした物語の構成が、今の時代にこの作品を成立させる上で好ジャッジだったと言える。

 2人の役者を取り巻く男女間のドロドロとしたリアルにまで手をつけたら、ここまで胸に響く歌舞伎役者の芸道映画にはならなかっただろう。演じた俳優の芸と演技、外国人カメラマンの見たいものを見せる映像、そして監督の見事な物語構成。これらが一体となって「国宝」は古典芸能を扱いながら、幅広い観客の心をつかむものになった。最初の出会いから130年近い時を経て、ようやく歌舞伎と映画は一つに溶け合った作品を生み出したのである。

(映画ライター・金澤誠)

  ◇  ◇  ◇

 年の初めの「泥酔騒動」がウソのようだ。関連記事【もっと読む】映画「国宝」大ヒットの吉沢亮“泥酔トラブル”乗り越えた今の生活…インドア&断酒続行中…では、吉沢亮の現在のストイックな生活ぶりについて伝えている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジとTBSは「朝8時戦争」“初打席”で空振り三振…テレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」独走いよいよ決定的

  2. 2

    NHKドラマ10「魯山人のかまど」は早くも名作の予感! 藤竜也は御年84歳、枯れてなお色香漂う名演技

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    フジ「月9」ドラマ初主演の北村匠海 映画では“共演者連続逮捕”のジンクスに見舞われたが…

  5. 5

    ローム、東芝・三菱電機が統合へ…パワー半導体をめぐる3社連合をデンソーが買収か

  1. 6

    元参院議員・野末陳平さん94歳 大病知らずだったが、2年前に2度の全身麻酔手術を経験

  2. 7

    中島裕翔に新木優子と熱愛報道 ファンから囁かれるHey! Say! JUMP脱退の背景と“問題児”の過去

  3. 8

    新木優子と結婚した中島裕翔は大正解! 吉田羊との“合鍵愛”報道から10年目…

  4. 9

    高市首相が自衛隊派遣めぐり安倍側近と壮絶バトル→「クビ切り宣言」の恐るべき暴走ぶり “粛清連発”も画策か

  5. 10

    「高齢者=賃貸NG」は思い込みだった? 家主が恐れる“4つの不安”を解消する方法