「時代に挑んだ男」加納典明(37)今ふと思った。乗馬中の大ケガで帰京したのは、馬たちがわざと…
増田「そうかもしれない。動物は人間の心を見ているといいますものね」
加納「とくに馬は頭がいいから。目が澄んでて、じっと俺たちを見てるんだ。ほんとにあいつらが助けてくれたのかもしれない」
増田「その事故がなかったらもっと王国にいたわけですからね。『そろそろ写真を撮りに戻ってください』って馬たちが送り出してくれたのかもしれません」
(第38回につづく=火・木曜掲載)
▽かのう・てんめい:1942年、愛知県生まれ。19歳で上京し、広告写真家・杵島隆氏に師事する。その後、フリーの写真家として広告を中心に活躍。69年に開催した個展「FUCK」で一躍脚光を浴びる。グラビア撮影では過激ヌードの巨匠として名を馳せる一方、タレント活動やムツゴロウ王国への移住など写真家の枠を超えたパフォーマンスでも話題に。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞など受賞多数。
▽ますだ・としなり:1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。