織田裕二の存在感は、よきにつけ悪しきにつけ世界陸上で注目された
渥美清がシリアスな映画に出演しても「寅さんだ!」と笑ってしまうように、織田から熱血漢を取れば、気の抜けたビールのように味気ないものだった。
役が生んだ織田の“熱血感”を有効利用したのがTBS。「世界陸上」のメインキャスターに起用して見事に成功した。
織田は中・高とテニス部に所属。陸上経験はないが、陸上を熱く語る姿勢は好感が持たれた。青島刑事が上司に「事件は現場で起きている!」と言うのと似ている。
フジが俳優として育て、TBSが異色のキャスターとして熟成させた織田。
2年後の北京大会については「これで卒業」と出演しないと明言した。
気の早いメディアは武井壮や鈴木亮平が有力候補と予想しているが、織田あっての世界陸上。寅さんに代役がいないように、織田の代わりを務められる人もいない。TBSが改めてオファーを出すのは必定。後は織田の返事次第だ。
来年は劇場版「踊る──」も復活する織田。期せずして誕生した熱血刑事とキャスターの二刀流は円熟期を迎えている。