明治期の“普通ではない女性の生き方”を、令和の“普通ではない女優”高石あかりが具現化
NHK「ばけばけ」
NHKの新しい連続テレビ小説「ばけばけ」が始まった。主人公の松野トキ(高石あかり)のモデルは、「怪談」などで知られる作家・小泉八雲の妻、セツである。
明治維新によって世の中が大きく変わり、それまでの価値観が通用しなくなった時代。島根の没落武士の家で育った娘が、異国から来た男の妻となっていく。それは当時の女性にとって、決して「普通のこと」ではない。
そんなトキに扮する高石も、どこか不穏な「普通ではない女優」だ。映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズでは、ゲームセンターで遊ぶように拳銃を撃つ女子高生の殺し屋を、当たり前のように演じていた。
またドラマ「わたしの一番最悪なともだち」(NHK)では、主人公(蒔田彩珠)に憧れと畏れを抱かせる幼なじみを好演した。共通するのは見る側が目を離せなくなる個性と存在感だ。
つい最近、高石は某鉄鋼メーカーのCMに出演した。その中で鉄の特性を訴えている。「ブレない、折れない、曲がったことが大嫌い」だと。まるで髙石の自己紹介のようなフレーズだ。明治期の普通ではない女性の生き方を、令和の普通ではない女優が具現化する。このドラマの大きな見どころの一つだ。
脚本は松重豊主演「きょうの猫村さん」(テレビ東京系)などの、ふじきみつ彦。日常に潜むユーモアを描いて巧みだ。