著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

木竜麻生「いつか、無重力の宙で」過去の自分と現在の自分を交錯させながら新たな「夢」に挑む

公開日: 更新日:

 夜ドラ「いつか、無重力の宙で」(NHK)が、いい出足を見せている。

 主人公は大阪の広告代理店で働く30歳の望月飛鳥(木竜麻生)。社内では「できる人」と評価されているが、実際は「便利な人」として仕事に忙殺される毎日だ。

 ある日、高校時代の友人・日比野ひかり(森田望智)が現れる。天文部の仲間だったが、13年ぶりの再会だ。ひかりは高校生の頃の「いつか宇宙へ行きたい」という夢を持ち続けていた。だが、現在は「血液のがん」を患っている。飛鳥は同じ夢を抱いていた自分が、それをどこかに置き忘れてきたことに気づく。

 このドラマの見どころは、彼女たちが過去の自分と現在の自分を交錯させながら、「超小型人工衛星」をつくって宇宙を目指すという新たな「夢」に挑んでいく姿だ。

 また今回ヒロインを務める木竜にも注目したい。女優デビューは11年前で出演作品は多い。CMでもよく見かけるが、顔と名前がなかなか一致しなかった。おかげで本作の木竜は新鮮で“第2のデビュー”になりそうだ。大人になってからの葛藤や社会的な責任。それに伴うプレッシャー。自身が抱える「迷い」や「再生」への歩みを等身大の自然さで演じている。

 脚本は、昨年の特集ドラマ「高速を降りたら」(同)でデビューした武田雄樹のオリジナル。その丹念な語り口が見る側の共感を生んでいく。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  3. 3

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  1. 6

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  2. 7

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  3. 8

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」