テレビ東京「能面検事」上川隆也が達者な演技で難役をこなす
検事が主人公のドラマといえば、真っ先に思い浮かぶのは木村拓哉主演「HERO」(フジテレビ系)だ。独特の発想や洞察力もさることながら、堅物のイメージが強い検事とは真逆のジーンズとダウンジャケットの久利生公平が新鮮だった。
上川隆也主演「能面検事」(テレビ東京系)の原作は中山七里による同名小説。主人公の不破俊太郎(上川)は大阪地検のエースだ。どんな事件にも表情ひとつ変えずに臨むことから「能面検事」と呼ばれている。
しかし、不破の無表情は時に怒りであり、迷いであり、悲しみでもある。達者な演技の上川だからこそ可能な難役だ。
これまでに女子高生殺害事件、ストーカー殺人などだけでなく、「国有地払い下げ」に関わる贈収賄事件も手掛けてきた。このドラマ、意外と社会派の面もあるのだ。
現在、不破は最大の危機に陥っている。駅前広場での「無差別殺人」、地検内部での「爆破事件」、殺人犯の釈放を要求する「地検立てこもり事件」が連続で発生した。
無差別殺人を「就職氷河期世代を切り捨てた社会への復讐」と言い張る犯人。彼を「ロスジェネ世代の代弁者」だと支持する者たち。背後にいるのは「ロスト・ルサンチマン」と称する謎の人物だ。しかも不破は何者かに刺されてしまった。
本作は29日が最終回。不破が事件の全貌を明らかにする瞬間を待ちたい。