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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

夏帆×竹内涼真「じゃあ、あんたが作ってみろよ」が描くのは“自分感覚”で生きることの大切さ

公開日: 更新日:

 気がつけば12月。夏帆×竹内涼真「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系)も第3コーナーに差し掛かってきた。

 父親譲りの「昭和の価値観」で生きてきた勝男(竹内)。恋人に合わせることで「普通の幸せ」を得ようとしていた鮎美(夏帆)。勝男のプロポーズを鮎美が断ったことでドラマは動き出した。

 確かに勝男の「化石男」ぶりは目に余った。鮎美の手料理を前に、「並んだ料理が全部茶色い」とか、「味噌汁の具が小鉢の具とかぶってる」とか言いたい放題。見ている側も「じゃあ、あんたが作ってみろよ」と切り返したくなった。

 その後、勝男は鮎美に対する未練でいっぱい。反省の日々の中で、自分の価値基準を押し付けることの理不尽さや、「幸せも人それぞれ」であることが分かってきた。

 また鮎美も美容師の渚(サーヤ)などに影響され、徐々に変化してきた。自分の思いや感情は言葉にしなければ相手に伝わらないこと。自分の人生は自分で決めるべきであること。その上で「自分らしく生きたい」と思うようになったのだ。

 物語の進行は決して早くない。2人の「気づき」や「成長」をじっくりと描いている。浮上してくるのは、「普通」という概念に惑わされず、「自分の感覚」で生きることの大切さだ。夏帆と竹内のコメディーセンスも功を奏し、今期ドラマの収穫といえる一本となった。

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