最近の歌舞伎座はダブルキャストが多く、若手にもチャンスがある

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 巳之助と時蔵の回に見た。巳之助は善人と悪人の二役で、これまでは線が細い印象だったが、悪役の岩藤の亡霊では図太さが出ていて、役者としてひとまわり大きくなった。時蔵も「菊五郎(八代目)の次」というポジションから完全に脱却し、物語の主導権を握って、ぐんぐんと引っ張る。

■夜の部に感じた次世代の台頭

 夜の部は『三人吉三廓初買』。冒頭の「大川端庚申塚の場」だけが毎年のように上演されるが、通しは少ない。和尚は松緑と巳之助のダブルキャストだが、お嬢は時蔵、お坊は隼人。みな「大川端」は経験しているが、松緑と時蔵以外は通しでは初めて。脇役に、尾上左近と市川染五郎という20代の役者が出ており、次の世代も台頭していることを印象づける。

 巳之助の回に見たが、若い役者たちが演じるので、不良少年の焦燥感が生んだ悲劇だと刺さってくる。ただ、歌舞伎というよりストレートプレイみたいで、そこが受けるのかもしれないが。

(作家・中川右介)

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