著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

高畑充希「ととねえちゃん」に見る「モデル」と「モチーフ」の違い

公開日: 更新日:

 今からちょうど10年前の2016年4月、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」がスタートした。父を亡くしたヒロイン・小橋常子(高畑充希)が、家族を守る「とと(父)」の役割を担い、戦前・戦後の激動の時代を生き抜く物語だ。

 常子は戦後の東京で天才編集者・花山伊佐次(唐沢寿明)と出会い、婦人家庭雑誌「あなたの暮し」を立ち上げる。高畑が演じた前向きなキャラクター、家族の強い絆、そして丁寧に描かれる市井の日常も好評だった。

 この常子にはモデルがいる。戦後から現在まで続く雑誌「暮しの手帖」の創刊者・大橋鎭子だ。花山伊佐次は花森安治である。しかしNHKは「モデル」ではなく、「モチーフ」だという。では、両者はどう違うのか。

 モデルの場合、実在の人物や史実そのものを比較的忠実に再現していく。朝ドラでは「カーネーション」の小篠綾子(ファッションデザイナー)、「らんまん」の牧野富太郎(植物学者)などだ。

 一方、モチーフは「表現する動機や着想」を指す。実在の人物や出来事を「題材」や「ヒント」にしてストーリーをアレンジする。モデルよりも自由度が高いので、面白さを優先することが可能だ。

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