文庫で読む戦争を考える本特集(2)日本統治下のパラオ生活を掘り起こす「あのころのパラオをさがして」寺尾紗穂著

公開日: 更新日:

 太平洋戦争終結から81年を迎えた今年の夏。戦争は過去のものになるどころか、歴史が再び繰り返されても不思議ではない不穏な空気が世の中に満ちている。今回は再び愚かな道を進まないために読んでおきたい戦争の実態に迫る文庫本4冊を紹介する。

  ◇  ◇  ◇

「あのころのパラオをさがして」寺尾紗穂著

 リゾート地として有名なパラオが、かつて日本の植民地であったことを知る人は年々少なくなっている。中島敦の作品を通して、昔パラオには南洋庁があり、中島が島民の国語の教科書を作る役人として赴任していた事実を知った著者は、日本近代史の中で南洋の歴史がスルーされていることが気になり、日本人がいた時代を感じるために現地に足を踏み入れた。本書は、著者が日本統治下のパラオを知る人々を訪ねて、当時のエピソードを収集し考察した歴史ルポルタージュだ。

 中島のように役人の赴任先として関わった日本人、日本人と関わりを持った現地人、日本での貧しい暮らしから逃れてパラオに移住した日本人の3者の視点を織り込みながら、植民地下での生活がどのようなものだったのかを明らかにしている。 

(中央公論新社 1210円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日向坂46「ひなたフェス」中止でもファンは宮崎へ「43億円」を動かした“推し活地方創生”の底力

  2. 2

    令和版『八つ墓村』にはこれまでにない「2つの見どころ」あり Jホラーの名匠と新・金田一耕助が魅せる

  3. 3

    「橋上代行昇格は絶対ない」 巨人来季監督に浮上する松井秀喜氏、高橋由伸氏に次ぐ「第3の男」

  4. 4

    青学大の4年間は「ひたすら駅伝を目指す」だけじゃない 今夏は初の海外合宿に踏み切った

  5. 5

    巨人・阿部前監督が球団復帰へ着々 「辞任4カ月での出戻り」は毒になるか、薬になるか

  1. 6

    佐々木朗希の最悪すぎる“退団劇”…ロッテから優秀スタッフ3人を引き抜き、大顰蹙を買っていた

  2. 7

    元関脇嘉風・中村親方〈1〉なぜ「朝稽古をしない」のか? 角界の常識から“あえて外れる”部屋づくり

  3. 8

    桑田真澄氏の発言が波紋 巨人の内部事情暴露のやけっぱち…来季監督の芽は完全消滅か

  4. 9

    六代目との抗争終結で勝ちどきをあげているのは絆會

  5. 10

    コメ農家廃業ラッシュ&米国産ジャガイモ輸入解禁に生産者猛反発! 農水省にはブーイングの嵐