文庫で読む戦争を考える本特集(2)日本統治下のパラオ生活を掘り起こす「あのころのパラオをさがして」寺尾紗穂著

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 太平洋戦争終結から81年を迎えた今年の夏。戦争は過去のものになるどころか、歴史が再び繰り返されても不思議ではない不穏な空気が世の中に満ちている。今回は再び愚かな道を進まないために読んでおきたい戦争の実態に迫る文庫本4冊を紹介する。

  ◇  ◇  ◇

「あのころのパラオをさがして」寺尾紗穂著

 リゾート地として有名なパラオが、かつて日本の植民地であったことを知る人は年々少なくなっている。中島敦の作品を通して、昔パラオには南洋庁があり、中島が島民の国語の教科書を作る役人として赴任していた事実を知った著者は、日本近代史の中で南洋の歴史がスルーされていることが気になり、日本人がいた時代を感じるために現地に足を踏み入れた。本書は、著者が日本統治下のパラオを知る人々を訪ねて、当時のエピソードを収集し考察した歴史ルポルタージュだ。

 中島のように役人の赴任先として関わった日本人、日本人と関わりを持った現地人、日本での貧しい暮らしから逃れてパラオに移住した日本人の3者の視点を織り込みながら、植民地下での生活がどのようなものだったのかを明らかにしている。 

(中央公論新社 1210円)

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