堺雅人は“日曜の夜”、NHK大河ドラマ「真田丸」で躍動していた
日曜劇場「VIVANT」(TBS系)の第2シーズンが始まった。物語としては3年前の第1シーズンの続きだ。今回もモンゴルロケを含む大きなスケール、「別班」をめぐる謎、豪華な出演陣、そしてケレン味のある早い展開などが踏襲されている。
主人公の乃木憂助を演じているのは、もちろん堺雅人だ。今からちょうど10年前の夏、堺はNHK大河ドラマ「真田丸」で主役を務めていた。主人公の真田信繁(幸村)である。
信長、秀吉、家康といった大物たちがしのぎを削る中、信州の小さな一族である真田家が渾身の力と知恵で生き抜いていく物語。その構造はどこか日曜劇場「下町ロケット」を思わせ、判官びいきの日本人の感性に訴えるものがある。久しぶりの大河らしい大河の登場だった。
まず注目すべきは、「新選組!」以来12年ぶりの起用となる三谷幸喜の脚本だろう。たとえば信繁の父・真田昌幸(草刈正雄)が、一族郎党の前で「武田が滅ぶことはない」と断言する。その直後、息子である信繁とその兄・信幸(大泉洋)に向かって「武田は滅びるぞ」と平気で言ってのけるのだ。ナイス昌幸!
この辺り、見る側を引き付ける“講談”の趣がある。何しろ「虚実ない交ぜ」こそが講談の面白さだ。歴史の真相は誰にも分からない。ましてやドラマの場合、“史実”を足場にした説得力のあるジャンプは構わない。戦国物といえば合戦をイメージするが、三谷が見せるのは、戦国武将たちの生き残りを懸けた権謀術数だった。しかも密室劇の連続だ。にもかかわらず退屈ではない。主要人物はもちろん、脇役たちも細かなキャラクターが立っていて、物語に厚みがあるからだ。
女優陣も目が離せない。信繁の最初の妻・梅に黒木華。また信繁の幼馴染みで常に近くにいる、きりを演じたのは長澤まさみだ。放送当時、女優としての長澤は同世代の横並びから一歩抜け出せないでいた。
一方の黒木は本作が大河ドラマのデビュー戦だが、2014年に映画「小さいおうち」(松竹)でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞。長澤にも対抗できるバリバリの実力派だった。
ドラマの前半は父の昌幸や豊臣秀吉(小日向文世)を軸に、彼らに翻弄される信繁の目線で進んできた。そして後半は、第2次上田合戦や関ケ原の戦い、大坂冬の陣・夏の陣とビッグマッチが続いていく。歴史に名高い激突の舞台裏が見どころとなっており、随所で三谷による独自の歴史解釈が功を奏していた。
堺は一見茫洋としていながら、後の“戦略家”としての片鱗もうかがわせる信繁をのびのびと演じている。加えて前述の草刈をはじめ俳優陣も充実している。信長の吉田鋼太郎、家康の内野聖陽、上杉景勝の遠藤憲一ら、個性的な面々がこの芝居合戦に加わってきた。こうして夏を迎えた「真田丸」は、回を重ねるごとに男たちの骨太な人間ドラマとなっていった。


















