映画監督・池島ゆたかさんが振り返る「酒と女と芝居と映画」

公開日: 更新日:

 でも、注文するのは酒だけ。いつもピーピーしてるから、ツマミなんてぜいたくなものは頼めない。突きだしを削るように少しずつ箸でつまんで飲む。今なら出禁になっちゃうよ。当時はそれでも文句ひとつ言わない店が結構あった。

 酒場で話すといえば芝居のこと。演劇論を闘わせて殴り合いになったこともたくさん。奥手だったボクは酒の力を借りて女の子を口説くのも目的で、それでだんだん酒が強くなった。

■酒臭くても「出番の時だけシャンとしろ」って

 ピンク映画に関わりだしたのは81年、32歳の時です。最初は男優で中村幻児さん、滝田洋二郎さん、片岡修二さんら名監督の作品を中心に、これまでに500本以上出てます。一番飲んだのはその頃から40代後半ぐらいにかけて。ウイスキーならボトルの1本は軽くイケてました。その場の勢いで2本飲んだ時もあったんじゃないかなあ。

 映画ってピンクも含めて、ロケに行く時の待ち合わせ場所はJR新宿駅西口が多いんです。目的地までの道路渋滞を避けるため、時間は早朝6時から7時。それなのに直前まで新宿ゴールデン街で徹夜で飲んで、そのまま合流したりね。でも、飲んべえはボクだけじゃなかった。演劇界には豪傑が大勢いた時代です。中には「寝坊しないように」ってロケのある日は、待ち合わせ場所で朝までホームレスみたいにゴロ寝してる役者もいました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態