前田有一氏が厳選 “クリぼっち”に贈る新旧映画大特集

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「君の名は。」新海監督の“転換点”

 週末はいよいよクリスマス。しかし、浮かれる街の喧騒をよそに、クリスマスを独りぼっちで過ごすことを最近は“クリぼっち”というんだとか。そんな“ぼっち”の心強~い味方が映画だろう。映画の中には切ない恋愛ドラマ、背筋の凍るスリル、究極の愛、人工知能が支配する恐ろしい近未来……飲んで騒ぐだけじゃ決して味わえない感動が満ち満ちている。聖なる夜は新旧映画三昧で心豊かにメリークリスマス!(負け惜しみじゃないゾ)

 2016年の映画界最大のニュースといえば新海誠監督「君の名は。」の200億円を超すメガヒット。「言の葉の庭」(13年、日)は、それまでオタク向けだった新海アニメに初めて女性客が殺到した、同監督の「転換点」というべき45分間の中編映画だ。靴職人を目指す15歳の少年と27歳の社会人女性の切ないドラマや、実写以上に美しい背景美術など、魅力と完成度の高さは「君の名は。」に勝るとも劣らない。

 科学分野では、自動運転技術や人型ロボット「Pepper」の登場などAI(人工知能)が話題となった。多くの映画にネタとして登場したが「バイオハザード:ザ・ファイナル」(公開中)はその最たるもの。14年にわたる人気ホラーシリーズの完結編として、物語のカギを握るのが謎の人工知能・レッドクイーン。高性能なAIである彼女が2つの矛盾する命令を受けた時に何が起きるのかが、重要なメッセージとなっている。

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(14年、米)は、一日に2機も落っこちたオスプレイに腹を立てている人が見たら、複雑な気持ちになること間違いなしのSFアクション大作。エイリアンの侵略を受け滅亡寸前の人類の一人が、突如「死ぬと戦闘前夜にタイムスリップする」能力を身に付ける。彼一人だけ何百回も同じ一日を繰り返し、徐々にスキルアップして戦局を押し戻す展開は先読み不能の面白さ。オスプレイをモデルにしたティルトローター機が登場し、墜落シーンまであるド迫力の戦争シーンも売り物だ。

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