著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

メガヒット「君の名は。」 本当の偉業は“世界で興行20位”

公開日: 更新日:

 今年の映画界の話題は、やはり「君の名は。」のメガヒットに尽きる。すでに興収205億円を超え、邦画では歴代2位、洋画を合わせても歴代4位の成績を記録。さらに驚くなかれ、上映は来年の春ごろまでの大ロングランになる見込みだという。

 個別の成績だけでなく、全体の年間興収も大きく牽引する。データが発表になった2000年以降では初めて、国内全作品の年間興収が2300億円を超える可能性も出てきた。

 日本ばかりではない。海外でもアジア中心に大健闘しており、とくに中国ではスタート3日間で約47億7000万円を記録。最終興収は未定だが、同国で公開された日本映画としては過去最高の成績になるともいわれている。

「君の名は。」の本当の凄さは、国内だけでなく海外でも尋常ではない興行になっていることだ。あるデータによると、16年に全世界で公開された作品中、現時点の累計の世界興収で20位にランキングされているというから驚きである。当然ながら、上位20作品は米映画がほぼ独占しているが、アジアでは中国映画1本と「君の名は。」の2本のみ。ただ、中国映画の1本は自国内の興収が大部分であり、海外でも支持されている「君の名は。」とは意味合いが異なる。

 日本映画は国内の市場だけを向いていると批判する声がある。たしかにその通りではあるが、「君の名は。」は、堂々と海外でも存在価値を示した。自国の市場を意識することは映画の持つ大きな特性であり、とても大切なことだと痛感した次第である。

【連載】大高宏雄の「日本映画界」最前線

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ