荒木経惟
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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<50>あらゆるイメージが女性器の暗喩…エロスとタナトスは相反するものじゃないんだ

公開日: 更新日:

■血が通っていればそこには必ずエロスがあるんだ

 リングストロボは、手術台を照らしてる無影灯みたいに、ぐっと寄ると影ができない。引いて撮っても、周りにフワフワーと輪郭を取るような影なんだね。手術室のことだから生と死っていうわけじゃないけど、光を浴びせるっつーか、光で抱擁する感じ。影をなくしちゃう。だから、ものすごくあからさまになっちゃう、さらけだしちゃう。あからさまにばらしちゃう。

■身体にある裂け目の部分っていうのは、全部、オレからすれば女陰と同じなんだ

 目や口、他のところにしても、人の身体の部分、すべて女陰なり。目とか口とか、身体にある裂け目の部分っていうのは、全部、オレからすれば女陰と同じなんだよ。半開きの目や口とか、形そのものが物凄くエロだね、エロを感じるね。目だって、まわりに毛が生えてて、膨らみがあって、いつも濡れてるだろ。

 それに目の中には、血管も見えるからね。人間の身体において水が通っているところっていうのは、つまり血が通ってるところのことだからね。その血の終着駅がエロスなんだよ。心臓から爪先、髪の毛の先っちょまで、血が通っていれば、そこには必ずエロスがあるんだ。

(構成=内田真由美)

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