浅草のキャバレーホステスに人気 純喫茶のピザトースト

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 いまや昭和の代名詞である純喫茶。その定番の軽食メニューといえばピザトーストだ。

 食パンにトマトソースを塗り、サラミやハム、タマネギ、ピーマン、マッシュルーム、チーズなどの具をのせ、トースターでこんがり焼いたもの。昭和39年に、有楽町に現存する「紅鹿舎」という喫茶店が、当時珍しかったピザを気軽に楽しんで欲しいと考案したのが発祥とされる。

 それが他の店に波及したのか、同時多発的に生まれたのかは分からないが、喫茶店なら大体どこにでもある具材(例えばタマネギ、マッシュルーム、ピーマンはナポリタンと共用)で作れることもあり、またたく間に広まった。

 しかし、現在は喫茶店自体の減少もあり、その存在を知る者も少なくなっている。たまにこう言う若いやつがいるのだ。「だったらピザを食べればいいのに」と。いや違うのだ。もはやピザの代用品ではなく、ピザトーストという独自の食べ物なのだ。しかも家で食べようと思うと意外と手間がかかるから、喫茶店でしか基本的には食べない。まさに喫茶店を象徴するメニューなのである。

オールマイティーさが魅力のピザトースト

 そんなピザトーストを無性に食べたくなった時、筆者が足を運ぶのが浅草の「ペガサス」という喫茶店だ。昭和31年創業で、ピザトーストを始めたのは昭和40年。当時、国際通りに10軒はあったというキャバレー(これも昭和だ!)のホステスや同伴客に飛ぶように売れたという。

 ピザ生地に比べ表面積の少ない食パンを使うピザトーストの場合、食事としての満足感を担保するため、そして具の重みでへにゃっとなるのを防ぐため厚切りになる傾向があるが、同店の食パンは約4センチと圧倒的。一斤から切り分けるという、このパンがまたうまいのだ。そしてとろけたチーズの下にはハム、タマネギ、ピーマンがどっさり。見た目はヘビー級だが食後感はライト級。中途半端な時間に食べても夕食時にはちゃんとお腹がすくのがありがたい。夜は酒のつまみにも。そんなオールマイティーさもピザトーストの魅力だ。

「うちなんか古いだけで」とマスターの蒔田好一さんは謙遜するが、昔ながらの純喫茶の空間で、こんな純然たるピザトーストが食べられること自体ありがたいことなのである。

(しばたゆう)

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