屋台店主が寄り集まり 京都に残る「会館」のノスタルジー
それは仕事で京都に出張した日の夜のこと。現地の飲み仲間・K姉に連絡すると「会館につれてってあげる」と一言。会館とはなんぞや?
指示されるままに阪急電鉄の西院駅で待ち合わせ、案内されたのが線路沿いの飲み屋街。いや、街というか、店と店がくっついた、ショッピングモールのよう。建物正面には「折鶴会館」と書かれた看板。これぞ「会館」だそうな。
会館とは、昭和30年代に京都市の条例で屋台が禁止された際、行き場をなくした店主たちが寄り集まって出来た場所のこと。東京なら池袋の美久仁小路や門前仲町の辰巳新道といった横町か。会館という名は当時、そう銘打つのがかっこ良かったからだそう。そんな京都の会館は、今は市内に5軒ほど残っているそうで、そのうちの1つが、この折鶴会館だ。
中の通路は迷路のようになっており、小さな店がぎっしりとひしめいている。そのうちの一軒、K姉さんおすすめの立ち飲み屋のガラス戸を開けると、まだ夜7時前だというのに老若男女でいっぱい。和気あいあいとした雰囲気が良い店と確信させる。
酒は一升瓶からなみなみと注ぐワインが名物。若い女将さん手作りのツマミは安くてうまくて酒が進む。客同士「今日はどちらから来たんですか?」なんて会話が弾むのも、まさに古き良き昭和の居酒屋スタイルだ。